医療費・介護費の負担、もう限界と思ったら読む記事【知らないと損する7つの制度】

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親が倒れた夜のことを、今でも鮮明に覚えています。救急車のサイレンが遠ざかった後、頭の中でぐるぐると「これからどれくらいのお金がかかるんだろう」という不安が渦巻いていました。医療費の明細が届くたびに胃が痛くなる——そんな経験、あなたにもありませんか?

実は、日本には医療費・介護費の自己負担を劇的に減らせる制度がいくつもあります。しかし、これらを知っている人と知らない人では、同じ治療を受けても最終的な支払い額に数十万円の差が生まれることがあるんです。

LIFULL介護の調査によれば、「高額介護サービス費制度」を知らなかった家族が518人中の過半数にのぼるというデータが出ています。存在を知らなければ申請できない——それが最も大きな損失の原因なんですね。

この記事では、医療費・介護費の負担を減らす制度を「使える順番」と「具体的な金額イメージ」で整理します。制度の名前を覚えるだけでなく、「自分のケースで使えるか」を判断できるようにすることが目的です。


医療費・介護費の現実:平均でいくらかかる?

まず、リアルな数字を見ておきましょう。

生命保険文化センターの2024年度調査によると、介護にかかる費用の平均は総額約540万円です。内訳は、初期費用として平均47万円、そして月々の費用が平均9万円、それが平均55か月(約4年7か月)続く計算になります。

「9万円 × 55か月 = 495万円、それに47万円を加えると542万円」——こう計算するとその重さが実感できるでしょう。しかも、在宅介護と施設介護では月額が大きく異なります。在宅なら月5.2万円ほどですが、施設に入ると月13.8万円という数字になるんですね。

医療費はどうでしょうか。厚生労働省の資料によると、1年間の平均医療費は65歳以上で約73万円、75歳以上になると約90万円にのぼります。これが毎年続くわけですから、老後の資金計画が揺らぐのは当然ですよね。

ただし、ここで大事なポイントがあります。これらは制度を利用した場合も含めた平均値です。しかし、申請漏れや制度を知らないことで、本来受け取れるはずの払い戻しを受けていない家庭が非常に多いのが実情です。


高額療養費制度:医療費の「上限」を決める最強の制度

月の医療費に上限が設けられている

「高額療養費制度」は、1か月(1日〜末日)に医療機関や薬局に支払った医療費が一定の上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。これが日本の医療費負担軽減策の「柱」と言っていいでしょう。

具体例で見ると分かりやすいですね。月収28万円(標準報酬月額26〜50万円)の方が、がん手術などで1か月に100万円の総医療費がかかったとします。

通常の3割負担では30万円の支払いになるところ、高額療養費制度を使うと——

計算式:80,100円 +(1,000,000円 − 267,000円)× 1% = 約87,430円

つまり、30万円から約21万円が戻ってくる計算です。払い戻しまで3〜4か月ほどかかるのが一般的です。これは大きいですよね。

知らないと30万円を一度立て替える羽目になる

ここが肝心なんですが、高額療養費制度には「事後申請」と「事前申請(限度額適用認定証)」の2つの使い方があります。

事後申請の場合、一度窓口で全額(上の例なら30万円)を支払い、後で払い戻しを受けます。払い戻しは診療月から約3〜4か月後です。

一方、「限度額適用認定証」を事前に取得して窓口に提示すれば、最初から上限額の87,430円しか支払わなくて済みます。入院が決まったら、まず加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合・国民健康保険)に申請しましょう。

ちなみに、2024年12月2日以降はマイナ保険証を提示して「限度額情報の表示」に同意すれば、認定証の取得なしで同様の効果が得られるようになっています。これは地味に便利な変更なんですよ。

「多数回該当」でさらに上限が下がる

あまり知られていないのが「多数回該当」という仕組みです。直近12か月間に高額療養費の支給を3回以上受けた場合、4回目から自己負担限度額がさらに引き下げられます。

月収28万円の例でいうと、通常87,430円の上限が44,400円に下がります。長期治療が続いている方には、特に重要な制度なんですね。


高額介護サービス費:介護費にも「上限」がある

月額44,400円が一般的な上限

医療費と同様に、介護保険サービスの自己負担にも月ごとの上限があります。それが「高額介護サービス費制度」です。

一般的な所得(年収約770万円未満)の世帯の場合、月々の介護保険サービス自己負担の上限は44,400円。これを超えた分は申請すれば払い戻されます。一度申請が認められると、以後は自動的に指定口座に振り込まれる仕組みになっているのが助かりますね。

注意が必要なのは、この制度は介護保険が適用されるサービスの費用のみが対象だという点。施設の居住費・食費や、日常生活費などは対象外です。「え、食費は含まれないの?」と初めて知ったとき、私も少し拍子抜けしました。


高額医療・高額介護合算療養費制度:医療と介護を「合算」できる

両方使っている家庭の最強の味方

医療費と介護費の両方を払っている家庭——例えば、ご本人が病院に通いながら介護サービスも利用している場合に使える制度です。

毎年8月1日〜翌年7月31日の1年間で、医療保険と介護保険の自己負担を合算して、一定の上限額を超えた分が払い戻されます。

70歳以上・一般所得の世帯であれば、合算上限は年間56万円です(所得・年齢によって異なります)。

「そんな制度があったのか」と驚かれる方が多いんですが、これが意外と知られていないんですよね。ただし申請が必要で、対象世帯には自治体から通知が届くことになっています。


医療費控除:確定申告で税金を取り戻す

年間10万円超えたら確定申告を

年間の医療費自己負担が10万円を超えた場合(または総所得の5%のうち低い方)、超えた分を所得から差し引ける「医療費控除」があります。最大200万円まで対象になります。

実は、介護保険サービスの一部も医療費控除の対象になるんですね。訪問看護・訪問リハビリ・短期入居療養介護などの「医療系サービス」は対象になります。「おむつ代」も、医師から「おむつ使用証明書」を発行してもらえれば控除対象になりますよ。

年収500万円の方が医療費を30万円支払ったとすると、控除額は20万円(30万円−10万円)。所得税率が20%なら4万円、住民税率を加えると約6万円の節税効果が期待できます。

そして、過去5年以内の分は遡って申告できます。「去年申告し忘れた!」という方は、今からでも手続きできますよ。これは朝日生命のコラムでも強調されている見落としがちなポイントです。


介護保険の「負担限度額認定」:施設の食費・居住費を減らす

特養や老健に入居するなら絶対に申請

特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護保険施設に入居している場合、所得・資産が一定以下であれば食費と居住費を減額してもらえる制度があります。

例えば、年金収入のみの低所得者世帯では、施設の食費が1日あたり数百円〜千円以上安くなるケースもあります。月に換算すると1〜3万円の差になることも珍しくありません。

申請先は市区町村の介護保険窓口です。毎年更新が必要な点に気をつけてください。


介護休業給付:介護しながら働く人への支援

給料の67%が支給される制度

介護のために職場を休業した場合、「介護休業給付」として**休業中の賃金の67%**が支給されます(雇用保険から)。

対象は、要介護状態の家族を介護するために93日を上限に取得できる介護休業の期間です。「仕事を辞めるしかないか」と思い詰める前に、この制度を活用することを強くお勧めします。

仕事を続けながら介護することは体力的にも精神的にもきつい。そこは間違いありません。ただ、離職してしまうと今度は自分自身の老後資金にも影響が出てきます。制度をうまく組み合わせながら、無理のないペースを探していきましょう。


申請を「つい後回し」にしてしまう理由と対策

「申請しなければ1円も戻らない」という現実

ここまで紹介した制度は、いずれも自ら申請しなければ1円も戻ってきません。自動的に振り込まれることはないんですね(一部例外を除く)。

「いつかやろう」と思いながら時効(2年)を迎えてしまった——そういうケースが本当に多いんです。制度の存在を知っていても、多忙の中で後回しにしてしまう気持ちはよくわかります。

だからこそ、「何かお金がかかったら、まず役所か加入保険に電話する」という習慣を作るのが一番の対策です。

ワンストップ相談先を持っておく

制度が多くて「どこに相談すればいいかわからない」という悩みも、実はよくある話です。

  • 医療費の相談 → 医療ソーシャルワーカー(病院の相談室に常駐していることが多い)
  • 介護費の相談 → ケアマネジャー(地域包括支援センターでも紹介してもらえる)
  • 総合的な資金計画 → FP(ファイナンシャルプランナー)

病院の医療ソーシャルワーカーは、費用の制度から退院後の生活支援まで幅広く相談に乗ってくれます。「こんなことを聞いていいのか」と遠慮しがちですが、それが仕事なので、遠慮なく活用しましょう。


制度の「組み合わせ」が最大の節約術

一つ一つは小さくても、重ねれば大きくなる

最後に、制度を「組み合わせる」という視点をお伝えします。

たとえば、施設入居中の方であれば——

  1. 高額介護サービス費 で月々の自己負担上限を44,400円に抑える
  2. 負担限度額認定 で食費・居住費を減額する
  3. 医療費控除 で年末に確定申告して税金を取り戻す
  4. 高額医療・高額介護合算 で医療費と合算してさらに還付を受ける

これを全部組み合わせれば、年間で数十万円の差が生まれることもあります。

「制度の申請は面倒」という気持ちは正直わかります。私自身も初めて確定申告で医療費控除を使ったとき、どの領収書を集めればいいのかさっぱりわからなくて途方に暮れた記憶があります。でも、一度流れを覚えてしまえば翌年からはずっと楽になるんですよね。


まとめ:知識が「最大の節約術」になる

医療費・介護費の負担は、制度を知っているかどうかで大きく変わります。

制度名対象効果
高額療養費制度医療費月の自己負担に上限を設定
高額介護サービス費介護費月44,400円が一般的な上限
高額医療・高額介護合算医療+介護年間の合算に上限を設定
医療費控除医療・一部介護確定申告で税金を軽減
負担限度額認定施設の食費・居住費所得に応じて減額
介護休業給付介護休業中の収入休業前賃金の67%を支給

「申請しないと損」という言葉が一番端的にこの問題を表していると思います。

お金のことは後回しにしがちですが、今日この記事を読んでいるあなたが少しでも「使えそうな制度がある」と感じたなら、明日にでも加入している健康保険か市区町村の窓口に問い合わせてみてください。動いた分だけ、必ず結果が出ます。


※本記事の情報は2025年時点のものです。制度の内容・金額は変更される場合があります。最新情報は厚生労働省や各自治体の公式サイトでご確認ください。

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